
テント選びに差が付く!テント生地の少しマニアックな話
テント選びの際に役に立ちそうな生地の知識をまとめました。
アウトドアショップなどで「やっぱり210デニールは厚いけど重そうだなー」とか「シルナイロンのスベスベ感たまんねー」とか言えると格好良いかもしれません。
※マニアックすぎてひかれないようには注意してください。
※オートキャンプ用としてマイナーな素材や織り方などについては割愛しています。
テント生地の素材の種類

ポリエステル
最もスタンダードな素材です。
オートキャンプ用のテントであれば、現在販売されている9割以上のテントはポリエステルだと思います。
コストや軽量性、強度などのバランスに優れており、ここであげる素材の中では最も吸水性が低いので、濡れた際にも重さがあまり変わりません。

カマボコテント3M

ザ・ワンタッチテントM

ワンタッチテント
ナイロン
ポリエステルよりも軽いため、登山用途のウルトラライト系テントによく使われています。ただし、ポリエステルと比べるとコストは上がります。

ショウネンテント

ライダーズワンタッチテント

ライダーズバイクインテント
コットン(綿)
Tシャツなどにも使われている綿で、化学繊維にはないナチュラルな風合いがあります。空気が通る隙間があるため結露しにくいこと、燃えにくいことなどがメリットとして挙げられます。
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、ポリウレタンなどをコーティングすることで防水性を持たせていますが、綿100%のテントはコーティングされていないものが一般的です。
コーティングができなくもないのですが、そうすると空気の通る隙間を埋めてしまうことになるので、結露しにくいというメリットが失われてしまいます。
その代わり、綿は水分を含むことで膨張するので、生地の密度が上がって雨を防ぐ仕組みになっています。したがって、強い雨が長時間降ると生地がためこむ量に限界がきて雨漏りに繋がりますが、通常の雨であれば大丈夫なことが多いようです。
それよりも注意すべき点は、濡れると非常に重くなることと、早く乾燥させないとカビやすいことです。

カンガルーテントS

カンガルーテントM

ワラビーテント
T/C(ポリコットン)
ポリエステルとコットンを混ぜた素材で、ポリコットンやテクニカルコットンとも呼ばれ、ポリエステル65%~70%のものが多く使用されています。
これはコットンのメリットを保ったまま、軽量で扱いやすくした生地で、コットン同様にコーティングされていないものが多いです。
コーティングしていないため、耐水圧をメーカー側でコントロールできない(素材自体の耐水圧になる)のですが、一般的に流通しているT/C素材の場合、耐水圧300~400mm程度になることが多いです。
日本のような雨が多い地域にはコットンよりもこのT/Cの方が向いていると言えます。

レンコンテント

エイテント

パップフーテント2
まとめ

テント生地のコーティングの種類
ポリウレタンコーティング
PUと表記されることも多く、最もスタンダードなコーティング方法です。
テント生地の裏側の少しベタっとした面がコーティングされている面です。注意点としては加水分解という現象で、使っていなくてもコーティングが劣化していくことです。
加水分解は高湿度だと進みやすいので、濡れたときはできるだけ早く乾かす必要があります。また、摩擦によってもコーティングは劣化するため、コーティング面を地面に付けたままテントを引きずったりすることも避けた方が良いです。
シリコンコーティング
主にナイロン生地にコーティングされます。
ポリウレタンのコーティングと違い、シリコンを繊維に染み込ませているので、ポリウレタンコーティングよりも防水性が高く、生地自体の強度も高くなります。シリコン素材自体が一般的にポリウレタンよりも高いのですが、シリコンコーティングをすると生地が滑りやすくなるので加工賃も高くなることが多いです。
ポリウレタン同様に加水分解はします。
テント生地の厚みを決める要素

生地の厚みは糸の太さ(デニール)や密度などで決まります。
デニールとは
糸の太さ(重さ)を表す単位で、9000mに糸を伸ばしたときの重さが1gのときは1デニールです。
デニールは68Dなどと表記されることが多く、オートキャンプ用のテントでは68D、75D、150D、210Dなどが一般的です。数字が上がれば上がるほど生地は厚くなり強度が上がりますが、その分、重量やパッキングサイズも大きくなります。
軽さを重視する登山用のウルトラライト系テントでは、30Dや40Dの生地が使われることが多いです。
タフタとは
縦横交互に糸を交差させた平織りで、190Tなどと表記されます。
数字は1平方インチ内に何本糸があるかを意味しており、数字が大きいほど密度の高い生地になります。
190Tは190デシテックス(デニールと同じような糸の太さを表す単位)と勘違いされやすいのですが、一般的にテント生地のスペックを指す際はT=タフタを表していることが多いです。
オックスフォードとは
縦横2本ずつ交互に交差させた平織りで、糸の本数は省略されてOxなどと表記されることが多いです。
オックスフォードはタフタに比べて引き裂き強度や耐久性があるため、テントのフロア素材などに使われます。
生地の色
生地の厚みとは関係ないのですが、遮光性を気にする場合は厚みと同様に重要になってきます。
当然ですが、生地が薄くても色が濃ければ遮光性は高くなります。
テント生地の耐水圧
耐水圧1000mmってどれくらい?
生地の上に1平方cmの柱を立てて、その中に水を1000mm(1m)の高さまで入れても耐えることのできる生地ということです。
例えば耐水圧1000mmの生地にこのように水を入れても水を貯めることができます。

劣化も想定して余裕のある耐水圧を
一般的には耐水圧1500mmもあれば強い雨にも対応できると言われていますが、コーティングの部分でも書いたようにコーティングの劣化は使っていなくても進行します。
また、生地のコーティングにはムラがあり、平均値の耐水圧を記載しているメーカーもあるため、使用環境を考えて余裕のある耐水圧表記のものがおすすめです。
※DODではどの場所を計測しても設定値以上となるように最低耐水圧を記載しています。
高ければ良いわけでもない
ただし、非常に難しいところですが、耐水圧が高ければ高いほど空気や湿気も通さなくなり結露しやすくなるため、一概に耐水圧が高ければ良いとは言えません。
例えばこのようなタープテントであれば空気がこもることがないので、耐水圧は高ければ高い方が良いと言えます。※重量は上がりますが。

しかし、露出した地面から湿気が上がってきやすい2ルームタイプや、風が抜けないようになっているスカート生地付きタイプは地面から上がった湿気がテント内に滞留しやすいので、耐水圧が高いと結露もしやすくなります。

メッシュ(蚊帳)の種類
どれも同じようなもんでしょ?と思いきやそうではないんです。
基本的にメッシュの目が細ければ細かいほどコストが上がり、虫が入りにくくなるのですが、その分、風も入りにくくなります。
こちらがDODが使用しているものの中で最も細かいメッシュです。※全て手のひらに密着した状態で撮影しています。

下記の写真くらい荒いと風はスースー通りますが、かなり大きい虫も入れてしまいます。

こちらが現在DODの新製品に採用することの多い、バランスに優れたメッシュです。

まとめ
値段が高いものやスペック数値が高いものが良いとは一概には言えません。
例えば、荷物をできるだけ小さくしたい人にはデニール数が低いテントの方がコンパクトになりますし、雨が降ったときにはキャンプしないという人には耐水圧の低いテントの方が結露を抑えられます。
形や色などの好みでテントを決めてしまうのも良いですが、使おうと思っているシチュエーションに応じて生地にもこだわってみてはいかがでしょうか。