【開発裏話】手裏剣はロマンコスト。企画担当のTERA的ロマンをこれでもかと詰め込んだ火吹き棒「シュリケンブラスター」
本日発売の新製品「シュリケンブラスター」。
WEBページ:https://www.dod.camp/product/fb1_922_gl/ 名前だけ聞くと戦隊ヒーローの必殺技みたいですが、いわゆる火吹き棒です。手裏剣が付いた火吹き棒です。 DODがクレイジーなアウトドアブランドと知っている皆さんでも、「なるほどなるほど。手裏剣が付いた火吹き棒ね。」とはすんなり受け入れられないと思うので、企画担当のTERAさんに、なんで作ったの?なんで手裏剣なの?などなどを直撃してきました。 生産工場の社長による深〜いお話まで聞けたので、皆さんにもご共有。
企画担当に聞いてみた
ロマンを詰め込んだらこうなった
TERAさんが火吹き棒を作っているというのはチラチラと聞いていたのですが、出来上がった製品を見てたまげました。なんと手裏剣が付いているじゃないですか。 なんでこのような火吹き棒になったのでしょうか?
ロマンを追求した結果かな。
ろ、ロマンですか。
そう、ロマン。 シュリケンブラスターは真鍮という合金素材でできているんだけど、この真鍮、もともとは廃材なんだよね。 オーミヤ(詳しくは後述します)の工場でこんな風に廃材になっているパイプを見て、これを何かに生かせないかな〜、これで何か作れたらロマンあるよな〜と考えてピンときたのが火吹き棒。
廃材でモノを作るのがロマンなんですか?
そう、ロマン。 だって本当は捨てられるはずだったものがキャンプギアに生まれ変わるんだよ?それも焚き火で使うアイテム。めちゃくちゃロマンじゃん。
ろ、ロマンなんですね。 ところで真鍮ってどういうものなのか調べてみたら、金管楽器や洋服の金属パーツ(ファスナーやリベット)などに使われている素材で、意外と身近に触れることが多い金属なんですね。 真鍮100%というのも何かワケがあるのでしょうか?
それもロマンのため。 真鍮って、はじめはピカピカの黄金色なんだけど、経年変化や使い込むほどに色がくすんで黒っぽく変色していくんだ。 時間をかけて、少しずつアンティークのような重厚な雰囲気へと育っていくことにたまらなくロマンを感じるよね。
自分だけの色に育っていくと愛着も湧きますね。 さてさて。ということは手裏剣が付いているのももちろん….?
そう、ロマンのため。
ですよね。刀でも鉄砲でもなく、なんでまた手裏剣なのでしょう?
刀や鉄砲は他の国にもあるけど、手裏剣ってたぶん日本だけのオリジナル武器じゃない?オリジナリティを重要視するDODとしては超リスペクトだよ。 何歳になっても、折り紙で手裏剣作ってたときから変わらない憧れってあるよね。
なるほど。男のロマンってやつなのでしょうか。 なんとかそのロマンを掴もうと人生ではじめて「手裏剣」をググってみたのですが、手裏剣っていろんな形があるんですね。
そうそう。 尖りの数や形によって三方手裏剣や卍字手裏剣、十方手裏剣などもあるみたい。 どの手裏剣もめちゃくちゃカッコいいし、忍者の流派や戦闘シーンによって使い分けるってのにもロマンを感じるよね。 今回はコストや使い勝手のバランスを考えて四方手裏剣を採用。
噂によると、この手裏剣パーツが製品全体のコストの約半分を占めているのだとか? 「手裏剣いらないからもっと安くして」って言われてしまわないかちょっと心配です。
ロマンを追い求めていたら結果的にそうなっちゃったね。 工場からも「本当に手裏剣付けるの?」と何回も確認されたんだけど、これがないとこの製品のロマンは語れない。 これがないとアソビ心を大切にしているDODから出す意味がなくなっちゃうよね。 手裏剣はロマンコスト。 工場にもそんな想いを伝えて、持っただけで思わずニヤニヤしちゃうようなロマンあふれる手裏剣を作ってもらったから、たくさんの人に手にとってもらってこのロマンを共有したいな。
元同僚とモノづくり
その工場というのがDODと同じ東大阪にあるオーミヤさん。 もともとDOD(当時はDOPPELGANGER OUTDOOR)でTERAさんと一緒に働いていた道野さんが社長を務める、水道配管継手や農業用噴霧ノズルの製造販売を行なっている会社です。
シュリケンブラスターは、オーミヤで見つけたパイプの廃材が開発のきっかけとのことでしたね。 オーミヤにはよく行くんですか?
仕事で伺うこともあるし、道野とはよく飲みに行ったりもするから、それでちょくちょくお邪魔してるかな。
道野さん、私も数回お会いしたことがあるのですがおもしろい方ですよね。 ビーズにいらっしゃったときはTERAさんと一緒にアウトドア用品を作っていたとお伺いしました。
そうそう。 当時は俺と道野の2人でDOPPELGANGER OUTDOOR製品の企画開発をしてたんだ。 だから今回、10年ぶりくらいに一緒にモノづくりができてなんだか感慨深いかもね。
え、2人で企画も開発もですか!DODにそんな時代があったとは! 道野さんはどんな製品を作られてたんですか?
いろいろあるけど、LEDシリーズが印象的かな。 LED搭載のスケートボードとか水鉄砲とか。
https://www.dod.camp/product/sb1_163/ https://www.dod.camp/product/wg1_242/
く、クレイジーです….。
めちゃくちゃおもしろいんだけど、ちょっとトガりすぎてたかもね。
道野さんのモノづくりへのこだわりなんかも聞いてみたいです。
道野は「とにかく光らす!」じゃないかな。
あ、そっちももちろん興味深いのですが、今回の….
あ、シュリケンブラスターね。道野に聞いてみようか。
道野さんに聞いてみた
道野さん、いつもお世話になっております。 今回はシュリケンブラスターの制作にご協力いただきありがとうございました! 製品の発売にあたり、オーミヤ工場としてこだわった点なども皆さんにご紹介できればと思うのですがいかがでしょうか?
こちらこそ今回はありがとうございます。 またTERAさんと一緒にモノづくりができてめちゃくちゃ楽しかったです。 こだわった点というと、まずは各パーツの一体感でしょうか。 全部で6つのパーツから成るシュリケンブラスターですが、1つ1つのパーツが浮かないよう各パーツのつなぎ目に面取りを施し、全体の一体感を出しました。 60年以上真鍮を加工し続けてきた弊社のノウハウを活かしています。
実物を手にとってみても、とっても丁寧に作っていただいているのが分かります。
あとは、なんといっても手裏剣。めちゃくちゃ良い手裏剣に仕上がってるでしょ。 まじめなモノづくりの話、「鍛造」という製造方法で、忍者が使っていた手裏剣とまったく同じ手法で製造しました。 もちろん本物の手裏剣のように殺傷能力があるといけないので、エッジをスムーズにするなどの加工をしたアウトドアのための「令和版手裏剣」です。
令和版手裏剣!新しいですね! 鍛造というとキャンプ用品では鍛造ペグがなじみがありますが、そもそも鍛造ってどういうものなのでしょうか?
鍛造とよく並べられるのが鋳造という金属加工法なんだけど、例えるなら鋳造は空洞のあるパン。鍛造は中身の詰まった餅。 鍛造は中身がぎっしり詰まっていて重量があるので頑丈。 これが手裏剣を自立させる土台として使うときの安定性につながります。
なるほどなるほど。たしかに見た目以上に重量感があります。 本物の手裏剣を見たことはないですが、キャンプギアの1パーツではなくもはや芸術品の手裏剣として仕上がってますね。 最後に、このジャーナル記事を読んでくださっている皆さんに一言お願いいたします!
吹き口の形状や機構などのファイヤーブラスターとしての機能をまず第一に考えてモノづくりをしました。 まずはその使い勝手に満足していただきたいですし、もし感じていただけるなら日本のモノづくりの技術力も、手に取って実感していただければ嬉しいです。
ありがとうございます。 貴重なお話を聞けたおかげで自信をもってシュリケンブラスターを売れそうです!
ところでTERAさんからLEDシリーズのことを教えてもらったのですが、道野さんはDOD時代にはかなりトガった製品も作られていたんですね。 一番のお気に入りとかありますか?
LEDシリーズ、いろいろ出しましたね~。 一番の思い出はLEDスケートボードです。 たしかサブネームに「クレイジーフラッシュ」という名前を付けたんですが、とにかく光り方がクレイジーでめちゃくちゃかっこいいんです。 後にも先にも、あの光り方する商品は見たことないですよ。
TERAさんにとってロマンとは
製品ももちろんですが、元同僚との10年ぶりのモノづくりというストーリーにもロマンがありますね。 ところでシュリケンブラスターは、ロマンをこれでもかと詰め込んだギアとのことですが、TERAさんにとってロマンとはなんでしょう?
「理由はないけどワクワクするモノやコト」かな。 ブランドコンセプトにもあるけど、キャンプすることに意味はないよね。快適な家があるのにわざわざテントを立てて寝るのは非効率だし、お金もかかる。 でもワクワクするからキャンプってロマン。
そのキャンプのなかでも焚き火はロマンオブロマンと言えるんじゃないかな。 だって暖をとるなら手っ取り早くストーブとかを使えばいいのに、わざわざ薪を組んで火の世話をする。 より実用的な意味はないけど、めちゃくちゃワクワクできるから焚き火はロマンオブロマン。 あくまでこれは俺のロマン論だけどね。
そんな焚き火で使うギアに、ロマンをこれでもかと詰め込んだのがシュリケンブラスター。 まさにロマンの塊というワケですね。 なんだか情熱大陸なかっこいい締めですね。ありがとうございます。